Blue Crystal Book

2001年には「ブルークリスタルブック」という冊子も発刊され、私は買い損ねて持っていないと書いたのですが、その事をある方に話した所、ありがたいことに余分に持っているからと譲っていただきました。貴重な物を本当にありがとうございます!Thank you very much Moo-Moo san!
「ブルークリスタルブック」B5判32ページは、沢浩氏が考案したブルークリスタルを使ったさまざまな手順の中から、9種類のマジックを解説した小冊子です。以前紹介した本、「澤浩の奇術」の中にこの冊子に掲載されているマジックの現象がごく簡単に書かれていおり、実際はどういう手順なのかと想像していました。
「ブルークリスタル」は基本的にディーラーのいるテンヨーショップで発売されたもので、著者は下村知行氏と熊澤隆行氏です。値段は税別2,500円。初回限定版として、解説されたマジックで使われる小物やギミックがセットになっていました。私がいただいたものに小物はついていないのですが、それほど特別な素材ではないので自作可能でマジックショップで購入出来る物もあり、材料を集めるのも楽しかったりします。
ちなみに表紙のイラストは園田輝秀氏によるもの。この本がとても大切に作られたことがよくわかります。
ソウル・オブ・バタフライ
(現象)
小さな標本箱に紙で作られた2匹の蝶々が入っています。その蝶々が一匹ずつ不思議な方法で、標本箱の透明板を通り抜けて外に出てきます。更に透明板に書いた蝶々の絵が箱の底まで沈んだり浮かんだりします。
「TENYOISM」にもSteve Cohen氏の翻訳で掲載されています。
バミューダトライアングル

三角形のプラスチックの枠をブルークリスタルに載せると観客の手の下でゆっくりと沈んでいきます。ケースの中に入ったバミューダトライアングルに、人間や飛行機、船を入れ、その上に手をかざすとすべて消え去ってしまいます。
右の写真は私のバージョンで、模型の代わりにパンチで紙に開けた飛行機の型を使用しました。
ポップ・アイ
(現象)
透明のケースの中に入っている2個の画鋲が入っています。紙に絵を描きケースの上に置きます。おまじないをかけると画鋲が透明版を通り抜けて紙に刺さり外に出てきます。紙を裏返すと・・・・・・
カメオと宝石箱
(現象)
ビクトリア女王が使っていたという宝石箱を見せます。表面に飾りがついていて中は空っぽです。そして飾りは目の前でゆっくりと中に入り、振ると今度は箱を通り抜け観客の手の上に飛び出してきます。そして最後は大きな宝石に変化します。
クリスタル・リンキングピン
(現象)
透明なケースの中に安全ピンが1個入っています。別の安全ピンを指先で持ちそのピンに近づけると、ケースのフタを通り抜け更につながってしまいます。
透明の薬
(現象)
星のマークがたくさんついている青い箱(ブルークリスタルの事)の表面に小瓶に入った透明な薬を少しかけ、その部分に小瓶を貫通させます。次に小瓶で星のマークをすくい取ってテーブルに出して見せます。
ミルキーウェイ
(現象)
窓のあるケースの底にきれいな星型のシールがたくさん貼ってあります。観客に好きな星を選んでおまじないをかけてもらうと、その星がゆっくりと浮かんできてフタを通り抜けます。そして最後には指先に取って見せます。

(現象)
透明な箱に入っている人形が突然フタを通り抜けて外に飛び出てきます。今度は半分沈んだ状態になり、ケースの中で自由に動き回らせることができます。最後に人形は再びゆっくりと箱のフタを通り抜けて外に現れます。
ブルークリスタルという4次元の箱に2次元の生物が迷い込んでしまったという、ユニークなストーリーです。
踊るESPマーク
(現象)
5種類のESPカードの名から観客に1枚選んでもらいます。透明な箱の中にはESPと同じ5つのマークが入っています。箱を持っておまじないをかけると観客の選んだマーク以外が立ち上がります。それらを取り出し再度おまじないをかけると、観客のマークも立ち上がります。しかしそれを観客が取ろうとしても透明版が邪魔をして触る事もできないのです。

私は半透明ブルーのシートを使うマジックがおもしろそうで、これに使えそうなクリアファイルを買ってきて必要な小物を作ってみました。「ブルークリスタル」自体が十分得体の知れない物なのに、それに更になんだかよくわからない物を作って組み合わせて、とびきり不思議な現象を作り上げるって沢氏らしい発想ですよね。
バミューダトライアングルは、ブルークリスタルの表面を海に見立てたマジックで、私もこのアイデアまでは思いついたのですが、実際に不思議なトライアングルを使い体感マジックとして作り上げ、ストーリー性があり最後に予想外の現象を起こす氏の手順に感服しました。
ブルークリスタルのアイデアは「TENYOISM」にもいくつか掲載されていますが、(下村知行氏よる「指輪の脱出」はこのブログでも紹介しました。必見!)自分がすでに持っているマジックの別の演出や使い方を見るというのは、目から鱗が落ちるというか、驚愕の裏技を知るというか、本当におもしろいです。ぜひ沢氏には他のテンヨーマジックのアイデアも発表していただきたいですね。
<4/28 追記>
この本を執筆なさった、下村知行氏より情報をいただきました。
全く知らなかったのですが、記事をUPした4/26はルーバーさんの誕生日なのだそうです。偶然ですが何かの縁を感じてしまいます。また、故山田昭氏から沢浩氏へブルークリスタルが運命のように渡り、出版に至るまでの興味深いエピソードをお教えいただきました。ありがとうございました!
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COMMENT
思いついたアイディアも,被ってしまう事はありますよね.それでもオリジナルだと言い張る方もいて残念です.
既に他の人も思いついてるはず,という意識で慎重に確認した方がいいですね.たまたま披露した相手が知らないという事もありますし.
原案者に敬意を払う事が最低限のマナーですね.
既に他の人も思いついてるはず,という意識で慎重に確認した方がいいですね.たまたま披露した相手が知らないという事もありますし.
原案者に敬意を払う事が最低限のマナーですね.
菅原さん
こんにちは、コメントありがとうございます。
海外に多いですが、すでに書籍に掲載されていたり、商品になっているものが発売されているのを時々見かけて残念に思います。
こんにちは、コメントありがとうございます。
海外に多いですが、すでに書籍に掲載されていたり、商品になっているものが発売されているのを時々見かけて残念に思います。